これは みす53代 Advent Calendar 2020 - Adventar の2日目の記事です。昨日のbirakiさんの記事によると数万字書くと豪語しているMISWの単眼アイドル、53代のオダマキです。
といっても今日は元々書いてたnoteを改変貼り付けしてサボろうとしているので数万字は書きません(当初はそのつもりだった)
note.com
このnoteをジェムファン(GEMSCOMPANYのファンのこと)以外の人にわかりやすく書き下そうとしているものがこの記事になります。
この記事の読み方
いや読み方もくそもないんですが、推しのMVメロウを再生しながら
「ここ!止めて!……ここはね……!」
というノリで進めるので、隣のウィンドウとかで再生しながら読むのがいいと思います。それこそ最近バズってた(?)ピクチャー イン ピクチャーの出番かもしれませんね。
いやその前に、一度も見たことがない人、忘れちゃった人は先入観なしで見てほしいので(手遅れな気もするが)一度通して見てみてください。多分その後にこの記事読んだほうが楽しいです。
www.youtube.com
はじめに
GEMSCOMPANYの水科葵さん(以下、みずしー)のMV、メロウについて語りたいと思います。
なぜこの記事もとい、前述のnoteを書こうとしたかというと、表現手法が好きだったからです。
メロウMVのCG、音楽、動画、振付、すべての要素に意味が込められていて、見る人に「このような意味を伝えよう」「このような感覚を味わわせよう」と趣向が凝らされているからです。
そんな表現手法にスポットをあてて見ていこうと思います。
始まるまでが長いですねこの記事
準備はよろしいですか? 見ましたか? 広告が出てきた人は広告をスキップして。キーボードの0を押した後、Spaceを押して待機してください……
それでは再生!(ポチッ)
はい! 止めてください!(ポチッ)
まず冒頭ですね。ジェムカンのMVはほとんど全部CGです。「よし!みずしーの新曲のフルMVだ!」という気持ちで見たジェムファンは意表をつかれます。
そうじゃなくてもVの者の動画と思って見た人は、開幕突然の実写にぐっと目を引かれるのではないでしょうか?
この効果、開幕に実写の画を置くことで、没入感を高めているのではないかと感じました。このMV、開幕以外実写がないですよね。
(いやもしかしたら超美麗リアルレンダリングCGかもしれませんが、そうだとしても他のシーンとデフォルメ具合に差をつけているのは確実です)
あと、音楽全然わからないんですが開幕の実写パートだけ雰囲気やテンポが全然違いますよね。構成されてる音もシンプルで、泡のSEと残響のようなシンセサイザー、そしてピアノの和音がゆっくり降下していく。
つまりここは現実と幻想の境目、インターフェースの役割を果たしているのです。見る人聞く人をゆっくり幻想の世界に沈めていきます。
そのあと泡に飲まれて視界が白み……
(再生)
美しい海
海の底から美しい海を見上げるシーンになります。
- 実写の泡と連続で出されることで、一瞬実写かと錯覚するような
- しかし先ほどの実写と対照的にカラフルで、幻想の世界に入ったような
感覚をもたらし、見る人を海の底にいざなっています。
(再生)
遠くから聞こえる歌声
ラ~、と歌声が遠くから響いてきます。
視覚に関しても、みずしーにピントが合ったり合わなかったりと、遠くからぼんやり見ているような感覚をだす小技が効いています。
聴覚と視覚から、みずしーとの距離感を表現しています。
これもわかりやすいですが、ピントを移り変えて視線を誘導しています。見るべき場所を順番に示し、見る人を物語の中に引き込もうとしています。
言葉なくとも『海面から海の底の世界に飲み込まれる。遠くから聞こえてくる歌声に惹かれ、岩影の奥にいるみずしーを見つける』というストーリーを体験できるわけですね。
手に持っている木の枝にも注目しましょう。子供のころやりますよね、道端の木の枝とかを何かに見立てること。多くの人が
「これはマイクに見立てているのだろう。手に届かないものにあこがれているのだろう」
と考えると思います。『夢見る歌姫の卵』が、手に枝を持たせるだけで表現できるのです。
こういう、言葉なしに意味を伝えることができる表現が個人的に好きなんですよね~
Twitterで「枝持ってて笑った」みたいな意味を読み取れてない人がいて、非常にビビり散らしましたが……みずしーはいわゆる神対応をしてました
「変わらない毎日繰り返してる」
歌詞の通り「ゆらりゆらり」漂ってから、回転しながら向かって左に進む振り付けです。
突然ですが、映像にはもっぱら左から右への方向があります。
人間はどうやら右が進行方向だと感じるバイアスがあるようで、ゲームでいうとマリオのような2Dゲームは基本的には左から右に進みますし、短距離走のゴールの映像も左から右です。
進行方向だけでなく、
左は
右は
というふうにも意味づけられます。
落語や舞台では、客から見て右側は上手であり、身分が高い人、建物の内側を配置します。
宇宙戦艦ヤマトは地球を離れ危険な旅に出る方向では必ず左向き、地球に帰ってくるときは必ず右向きに描写されているそうです。
メロウに戻りますと、「変わらない毎日繰り返してる」「ひとりぼっちはなれっこだから」とネガティブな部分で左に進み、左に語り掛けています。
そんなのたまたまだろって? まぁ見てなさいって
「ひとりぼっちはなれっこだから」と語り掛けた(ように見える)一匹のクラゲはひとりぼっちのメタファーとしてMV通してずっとここにいます。
みずしーは以前配信で、自身の過去について暗黒時代と自嘲しながら「学生時代、友人関係でうまくいかず見返してやろうと技術を磨いていた。その時代があったから今の水科葵がいる」というようなことをおっしゃっています。ひとりぼっちのクラゲはその時代のみずしーのメタファーでもあると推察します。
「遠く霞ゆく視線の先に」
「遠く霞ゆく視線の先に何が待っているの?」みずしーの前に広がる広大な世界。でも岩や逆光に隠れて遠くが見えません。
はい!顔がいい!
と、ここで初めてみずしーと視聴者が正対します。「どんな表情でどんな色をしてるかな?」とみずしーが未知に向き合うという表現かなと思います。
ここから音楽、動画ともに大きく展開していきます……!
先ほど左右に意味があるといいましたが
衣装を揺らめかせながら右にステップしていきます。気づいてしまったかぁ~!この気持ちもう止められんよな~!
銀色世界
そして音楽でも、ここまで基本的にピアノのみで(アクセントにぽわぽわしたシンセなどは入っていますが)ここからシンセが参加していき、徐々に楽器が増えていきます。ひとりぼっちだった世界がどんどん広がっていっていることの表現ではないでしょうか。
デュン、ぎ~ん~い~ろ~世界~
銀色世界が広がっていきます。目を閉じても、音だけで世界が広がってく感覚を味わうことができるのではないでしょうか。
さきほど書いた「デュン」は、サビの歌いだしのタイミングがワンテンポ後だよということを文面だけで伝えようと試みた結果です。歌いだしのタイミングがどういう効果をもたらすのか、ほかのパターンの例を挙げながら見てきたいと思います。
まず歌いだしと楽器が出るタイミングが同じ基本形の紹介です。ジェムカンの曲で例を挙げるので見てください(ステマ)
youtu.be
4拍子の指揮してみたり、1, 2, 3, 4, と数え上げてみると、タイミングばっちりで気持ちいいです。
ゴールデンスパイスをはじめとする、ジェムカンの全体楽曲に多いのがこのパターンです。王道らしく、サビでの盛り上がり、安定感があります。
そして次に多いのが、楽器よりも先に歌詞が出てくる曲。ジェムカンの曲はこっちのほうが多い気がします。もっとも典型的なのが、メロウと同時期に出た長谷みことさんの『少女聖戦パラドクス』です。
youtu.be
サビに入る前に
と楽器も画も一瞬静かになって歌を引き立てています。
他にも、流行りの(遅い)紅蓮華なんかも「どうしたって~」の部分が楽器よりもさきにきていますね。
気持ちが前に出ている感じ、抒情的な印象を得ます。
そしてその反対の歌いだしが楽器の後に来るパターンは珍しく、ジェムカンでもメロウ一曲のみかなと思います。
先ほどとは逆で、先に音に包み込まれてから歌が手を引っ張る、叙景的な感じを得ませんか?
振りでも手、足を大きくとって世界の広がりを表しています。
さっきまでの枝が透明のマイクになっています。周りの銀色世界と同じ色というか質感。これは現実ではないということもわかります。銀色世界は歌手になるという夢の世界なのでしょうか。
そして二度目のデュンと同時に現れる空飛ぶクジラ。幻想の世界だということが鮮烈に印象付けられます。このクジラの解釈はジェムファンのP田太郎さんのnoteを見てなるほど!と思いました。ここではざっくり『あこがれや夢の象徴』とします。
はい!ここでちょっと巻き戻ってください!Youtubeのブラウザで、キーボードの「J」を4回ほど押してください!(40秒ほど前に戻ってください)
大きく曲が転回するとき、右に前進し始めるときに、くじらが表れはじめていたのです! 熱い伏線回収です。
衣装
脚きれ~ねぇ!あなた!
ここで衣装について触れたいと思います。このような前が短くて後ろが長いスカートを『フィッシュテールスカート』といいます。
この曲はみずしー自身が作詞をしています。その時から考えていたモチーフが人魚だそうです。フィッシュテール、まさしく人魚と重なりますね!
さらに猫耳の位置をはじめ、全身にヒレのようなフリルが付いています。このふわふわの衣装がダンスに映えて、まるで海の中を漂っているように見えます。
さらに思ったのがこのスカート、前に足を踏み出しやすい形になっているのではないか!!!と思いました!思っただけです!
メロウとは何か
メロウ、メロー
- メロウ - アイルランド民話の人魚。
- mellow - 果物や酒などが熟していること。転じて、ものごとが円熟したさまを表す。人柄や、音楽では柔らく豊かな楽曲を指す。
メロウ - Wikipedia
「メロウ」という言葉には、「mellow」と「merrow」の2つの単語があります。「mellow」には「柔らかな」「豊かな」「甘美な」という意味があり「merrow」には「人魚」という意味があります。
例1:メロウな服
「メロウ」な服とは、首元や肩などに、フリルのようなデザインが、施された洋服のことを指します。メロウTシャツやメロウワンピースのように「メロウ」の名前がついた商品が、多数販売されており、ガーリーで甘めなスタイルです。
例2:メロウな色
「メロウ」な色とは、ピンク、ターコイス、ロイヤルブルー、ピーチ、パンプキンのような風合いをもった色のことです。派手ではなく、明るすぎないやわらかな風合い、温かみのある色で、春先や秋などをイメージするとわかりやすいでしょう。
例4:メロウな歌声
メロウな歌声とは、心が溶けていくような癒しの歌声です。誰もが心地よくなれる声で、リラックスしたい時におススメです。メロウヴォーカルばかりを集めた、コンビネーションアルバムも多数販売されています。
例6:メロウな音楽
「メロウ」な音楽とは、耳障りがよく、甘くうっとりするような楽曲です。「柔らかな調べ」「心地よい調べ」という意味の通り、日常生活に溶け込み、BGMとして流していても違和感を感じません。
メロウの意味と分野ごとメロウの使われ方8例・おすすめなメロウ音楽 - 言葉の意味を知るならtap-biz
メロウという曲、めちゃくちゃメロウ!!!
作詞、作曲、衣装、振付、動画、このMVに携わったすべてのクリエイターが「メロウ」をいう曲を解釈し、メロウを完成させていったことでしょう。
そのクリエイターのひとり、動画を担当なされた仲村渠(なかんだかり)さんのインタビューから仲村渠さんの解釈、曲の印象を引用します。
きっとこの曲は水科葵にとって道しるべであり、立ち止まってる人の背中を押してくれる魔法の様な曲
サビ後に出てくる本は意味があり、サビでの素敵な世界が夢だったことの意味ともう一つ、水科葵の歩んだ道を書いた手記として、これから何かに向かう人への道しるべとなり背中を押してくれる「軌跡」としての意味があります。
これは水科葵の人生の軌跡を描いた曲でありながら、また別のだれかがこの本を開いて踏み出す勇気をもらうことができる。そんな曲に込められた願いを、この本が象徴してるのですね。
あと、この「メロウ」の振りを覚えておいてください。
「踊る姿に見惚れている」
あ!さっきまで何もなかった遠方にクジラが見えます。夢が形を持ったのでしょうか。
ここは1番との対比が面白いです。1番では左に展開していましたが、2番では逆に右に展開しています。前向きな印象ですね。
さらに振付に関してです。1番では「変わらない毎日繰り返してる」の繰り返しをターンで表現していましたが、2番では「踊る姿に見惚れている」踊る姿をターンで表現しています! 歌詞の意味によって1番と2番の同じ振りの意味が変わっていますね。
楽器も弦楽器、管楽器などオーケストラチックな楽器が増え、1番とは比べ物にならないほど鮮やかになっています。
ここで歌詞の文字に着目したいと思います。このMV通して、右に縦書きというスタイルです。多くのMVは文字を動かしたり、下に横書きしてる気がしますよね。
同じ仲村渠さんが手がけた、みずしーの「いのち」カバーでは文字が右から流れてきます。時折「鼓動」の文字がドクドクするなどのアニメーション(キネティック・タイポグラフィと呼ぶらしい)も混ぜられています。
歌いだしのところでも言いましたが、メロウは感情を伝えるというより世界観を描き出している要素が強いですし、歌詞の文字もそれに伴って前面に出てこないようにシンプルにしているのでしょう。そして縦書きであるのは詩や物語のイメージが出るからかなと思いました。
かといって全く文字が動いていないかというとそうではなく、
「希望」の文字が光り輝いていますね!
と思ったら「希望」の文字が乱れ始め……
「降りるはずのない雨に打たれて」
降りるはずのない雨に打たれます。
ここ「降る」じゃなくて「降りる」なの、語感の調整でしょうか。センスが光りますね。
ここなんで「降りるはずのない」のでしょうか。これも先ほどのP田太郎さんのnoteで考察されていまして、それを引用させていただくと
私は"雨"というのはアイドルとして失敗する事ではないかと考えています。当然アイドルや歌手として歩み始めなければ、そもそも失敗することはありません。それを"降りるはずのない"と表現しているのではないでしょうか。つまり、夢を追いかけたいが悪い未来ばかり考えてしまって一歩を踏み出せない状態。
水科葵『メロウ』MVを見て|P田 太郎|note
確かに海の中には雨が届きません。雨が降るはずがないのです。未だ、ただの女の子で海の底にいるのに「海の上に出れば雨に打たれてしまうかもしれない」と考えてしまうということですね。
ここよく見たらみずしーの手が震えています……!
溺れる。これも海の中ではないことです(人魚なら)。息ができないとしたらMVで覆っているような泥(?)でしょうか。海の上に上がるどころか海底に足を取られてしまいました。
ところが……? 暗闇から光が!
「魔法の言葉」みずしーが配信で言及していました。誰かに贈られたり、ずっと胸にしまわれている言葉。自分の力となるような言葉を「魔法の言葉」としています。
おっとぉ!?気づかれたでしょうか? この右手の振り、先ほどの「1ページめくり はじまるメロウ」の振りと同じではないですか?「何かに向かう人への道しるべ」=「魔法の言葉」= メロウ なのです!! という解釈です!!!!!
「前向きな歌詞では右向きってゆうとったやないかい」とか怒らないでください。確かに左に進んではいますけど1番の同じシーンと比べると左というより手前向きじゃあないですか?
1番
それにステージで踊ること考えたら右に行き過ぎると上手にはけてしまいますしね。
ん?ステージといえば!!! 1月 8、9、10日にZepp Yokohamaでライブを行います!!! きっとメロウも披露されることでしょう!!! 来て!!!!
みずしーに関していえば……? もう一個あるぞ……?
12月28日に立川ステージガーデン&ミクチャで行われるVtuberによる音楽ライブイベント、VirtualMusicAward2020に我らがみずしーが参加します!!!
音楽V好きならこのメンバーの熱さお分かりになると思います
GEMSCOMPANY
最終回でタイトル回収するブログは名作
メロウに戻ります。銀色世界が美しい夕焼け色に染まっています。
この鮮やかなオレンジ、ライブでのUO(ウルトラオレンジ。特に明るくオレンジ色に発光するサイリウム。アイドルのライブでは定番曲のラスサビなど、盛り上がりの頂点で使われる)を思い出しますね。
ん?ライブといえば?
画もそうですが音楽も1番のサビと2番のサビを交互に聞くと全然違うことがわかります。1番のサビは透き通るような繊細な印象で、みずしーの歌声も透明感があります。2番は楽器の数が増え、音が分厚いですし、みずしーの歌声もとても力強くなっています。
そして集まるめざし軍団。(まぁ本当にめざしかは定かではないですが)
note.com
みずしーが来ている「めざし」と書かれた「めざしパーカー」はジェムカンの中で比較的に早い時期にでた被服グッズ。初期のイベントでは多くのジェムファンがめざしパーカーを着て、全国から応援に駆け付けました。
この魚の群れはそんなファンの象徴かもしれませんね。(めざしパーカー再販お願いします!!!!!!)
力強いまっすぐなロングトーンからの心を揺さるビブラート。その余韻を引っ張るコーラス。心地よい高揚感とともに目を閉じようとすると……
『……願いとともに みーちるー⤴』
(え……まだ来るの?)
『……せーかいー⤴』
(もう一回上がるの!?)
「響き⤴わーた~れ~⤴!!!」
上がった~~~!!!
と初耳の時になってまし、今もなります。
集まるめざしと12色のときめき。
枝を持って歌う真似をすることしか出来なかった少女はついに仲間とファンを得て、
この光の当たり方のみずしー、見覚えがあります。そうライブです
DMM VR THEATERで行われたMagic Socksの様子。
https://panora.tokyo/archives/3778
(やばない?このライティングと接地感)
次はどこへ向かうのでしょうか……?
ありがとうございました。
youtu.be
youtu.be
youtu.be
明日はレベッカさんです。どんなことを書くんでしょうね~。いやなんとなくわかる